目次
美容皮膚科・美容外科では働きたいと思っている看護師さんは多いと思います。
華やかで高給与、夜勤もなく人気の就業先であるイメージの強い美容業界ですが、実際の所はどうなのでしょうか?
今回はゲストで看護師紹介会社の代表を務める、NOAJAPAN株式会社の児玉さんをお迎えしてお送りしていきます。
児玉さんは10年以上看護師の紹介事業の社長としてご活躍されながら、現役のキャリアアドバイザーとして日々看護師の転職相談に乗っておられます。
会社の代表を務めつつ、自身でも看護師のキャリアアドバイザーを10年以上続ける看護師紹介のプロフェッショナル。
都内の美容クリニックへの紹介実績多数。
美容看護師に必要な資格とは?
編集長
本日はよろしくお願い致します。
早速ですが、今回のテーマは看護師さんの美容皮膚科・美容外科への転職です。
児玉さんは過去、何名くらいの看護師さんを美容クリニックへご紹介されていますか?
児玉さん
私のご紹介で美容皮膚科・美容外科へご入職された看護師の人数は100人を超えていますね。
弊社は美容看護師の転職に特化している訳ではないのですが、美容業界への紹介実績が非常に多いのも強みの一つです。
編集長
美容看護師に必要な資格はございますか?
児玉さん
正看護師でも准看護師でも可能です。もちろん助産師、保健師、認定看護師なども可能です。
逆に言うと、無資格者の方はNGとなります。
正看護師もしくは准看護師の免許を保有していることが前提です。
美容看護師の仕事内容とは?
「美容皮膚科」と「美容整形外科」がある
編集長
美容看護師の仕事内容の詳細について教えてください。
児玉さん
美容クリニックは大きく分けると「美容皮膚科」と「美容整形外科」に大別できます。
「美容皮膚科」は主にシミ取りレーザーや脱毛、ヒアルロン酸注入などの肌系の治療です。
「美容整形外科」は二重や鼻を高くするオペ、脂肪吸引やエラを削ったりと大規模な手術を行います。
「美容皮膚科」の看護師の仕事
編集長
美容皮膚科に勤務する看護師の主な仕事内容はどのような感じですか?
児玉さん
美容皮膚科で勤務する看護師のメイン業務は「脱毛」や「シミ取りのレーザー治療」です。
特に脱毛は美容ナースの登竜門と言われており、転職してからは脱毛業務に携わる事が多くなります。
「美容整形外科」の看護師の仕事
編集長
美容外科の看護師のメイン業務は美容皮膚科とはけっこう異なりますか?
児玉さん
そうですね。美容外科の場合はオペ介助がメインとなります。
手術前の準備やオペ中の介助、手術終了後の片付けなどですね。
オペは医師が行いますが、手術時間が長いものもあり医師との連携が求められる仕事になります。
病院のオペ室で勤務経験のある看護師が採用されやすい傾向にありますね。
未経験から美容看護師になれる?
編集長
美容皮膚科や美容整形外科で勤務経験の無い、美容業界は未経験の看護師さんも美容クリニックに転職する事は可能でしょうか?
児玉さん
結論から言いますと、可能ですね。
私が過去転職を支援した看護師さんも未経験の方のほうが多かったように思います。
編集長
未経験から美容業界へチャレンジされる看護師さんの特徴ってございますか??
児玉さん
まずは大学病院卒の20代の看護師さんが多いですね。
相談内容として多いのは、急性期か美容クリニックのどちらにしようか悩まれているケースです。
理由としては年収が下がらない、日勤帯のみでの勤務をしたいといった感じです。
編集長
大学病院の夜勤はかなり大変と言いますもんね。
児玉さん
そうですね。夜勤疲れして日勤だけの仕事に就きたいけど、介護施設はNGという20代の看護師さんからの相談が多いですね。
編集長
簡単にまとめると、「高給与希望」かつ「日勤帯のみ希望」かつ「美容に興味がある」看護師さんという感じですね。
児玉さん
おっしゃる通りです。ただ、普通に考えて美容に興味の無い女性の方が少ないですよね(笑)
なので私は美容クリニックに転職希望の看護師さんによくする質問があるんです。
編集長
超気になるんですけど(笑)
児玉さん
簡単な質問ですよ。
「ご自分で美容クリニックに行ったことありますか?」
と聞きます。
大半の女性が美容に興味はあると回答すると思いますが、やはり本当に興味関心度が高い人はご自身でも美容皮膚科などに通われていることが多いです。
美容看護師は新卒でもなれる?
編集長
新卒の看護師さんでも美容看護師にはなれますか?
児玉さん
新卒で看護師としての経験がない方でも、接遇面がしっかりしていてお客様対応が可能な看護師であれば美容クリニックでの就業は可能です。
サービス業ですので看護師としての経験よりも接遇や話し方、清潔感や笑顔などが重要です。
美容看護師の年収は?高収入ってホント?
編集長
日勤帯のみの勤務で高給与と言われている美容看護師ですが、年収は大体どれくらいが相場ですか?
児玉さん
美容皮膚科だと年収400万円~450万円、美容整形外科だと年収420万円~500万円くらいが相場です。
美容整形外科の方が、若干ですが高めのケースが多いです。
美容看護師に向いてる人・向いてない人
編集長
今まで何百人という看護師と接してきた児玉さんから見た、美容看護師に向いている人と向いていないの特徴はございますか?
児玉さん
美容クリニックに入職されて長く続いている人の特徴でいくと、「こういう看護をやりたい」みたいな想いを持っている看護師さんよりは、美容への興味関心度やクリニックの売り上げへの意識などの感度が高い人ですね。
逆に美容クリニックに入職してもすぐ辞めてしまう人の特徴としては「こういう看護をやりたい」という明確な看護観が持ちすぎている人。
予防医学に興味があり、アンチエイジングに携わりたいと思って入職するとギャップを感じてしまうんです。
実際の業務内容は脱毛、美容皮膚科系の光治療やレーザーがメインなので。
編集長
華やかなイメージがありますが、実際は単調な作業も多いのでルーティーンワークがこなさせる看護師さんの方が向いているという事ですね。
児玉さん
あと、病院でどんなに偉い立場だったとしても美容業界が未経験だったら一からスタートですからね。
その辺りもしっかり考慮した上で美容クリニックへは入職する必要があると思います。
美容看護師になって失敗してしまうパターン
編集長
美容看護師になって、失敗してしまうパターンはどのようなケースがございますか?
児玉さん
先程お話しした「美容看護師に向いている人と向いていないの特徴」にも通じるんですが、美容の会社を運営している会社の社員となるので、もともと病院などで働いている看護師さんはギャップを感じてしまうことが多いですね。
売り上げ目標を追っていくこともなりますし、病院は疾患がある患者さんの対応ですが、美容クリニックではお客様の対応というスタンスになるので。
「看護観が強く、売上や経営に対しての意識が低い」場合は早期退職に繋がってしまいます。
美容クリニックの志望動機作成のコツ
編集長
履歴書に書いたり、面接の際に話すことになる「志望動機」の作成についてのコツはありますか?
児玉さん
美容看護師の志望動機でよくあるのが、「美容に元々興味があった為」というのはよくありがちです。
ですが、そもそも女性で美容に興味がない人は少ない為、「具体的になぜ、どういった事があって、興味が出たか?」という部分が重要になります。
例えば、「自身でも〇〇クリニックというところで脱毛やフェイシャルなどを利用した事があり、そこで働く看護師を見て自分もやりたいと思った。」
など体験談を盛り込むと良いと思います。
編集長
確かに「元々美容に興味があった」では志望動機としては弱いですよね。
重要なポイントは「自分自身の美容に関する体験談」だったり、「美容クリニックに興味を持ったキッカケ」を具体的に話して志望動機に繋げていくといった感じですね。
美容皮膚科・美容整形外科の面接の実態
編集長
面接において、病院とは異なる部分はございますか?
児玉さん
経歴が良くても、美容皮膚科・美容外科の面接では対応や接遇スキルが低いと判断されたら面接で落ちます。
もちろん病院でもこのあたりの要素は面接で見られますが、美容クリニックではよりシビアに判断される事が多いです。
編集長
美容看護師になるには容姿が重要だと言われる事が多いと思いますが、このあたりはどうですか?
児玉さん
見た目も綺麗ごと抜きでいくと重要です。
体形や清潔感、年齢なども総合的に面接では見られます。
年齢は20代が有利です。35歳以上で美容業界が未経験の場合はかなり採用のハードルは高くなってしまうというのが正直な所です。
編集長
美容クリニックにおける看護師さんの面接では外見や接遇スキル、対応力が重視されていることがよく分かりました。
これらは先ほど児玉さんがおっしゃられていた「美容の会社を運営している会社の社員となる」という部分に繋がりますね。
児玉さん
その通りです。ちょっと大げさに言うと、看護師の資格を持った会社員・美容部員になるようなイメージです。
この部分を理解していないと入職後にギャップを感じるし、面接では落ちてしまいます。
編集長
児玉さんは看護師さんの面接同席もされているかと思いますが、美容看護師の面接で印象に残っている出来事って何かございますか?
児玉さん
一番印象に残っているのは面接当日に看護師さんが5分遅刻してきた事があるんです。
電車遅延とかは特になくて連絡がなくて5分ほど遅れていらっしゃったんですが、その瞬間に不合格を先方の採用担当者さんより言い渡されました(笑)
これは3回くらいあります。
「面接に5分も遅刻するような人は採用できません。帰ってください」と言われてしまって。
編集長
まさに接遇や対応力を見られていますね。
児玉さん
そうですね。もちろん病院や介護施設の面接だから5分遅刻してOKという訳ではないんですけど。
ただ、私も10年以上看護師さんのキャリアアドバイザーをやって何百回と面接同席もしていますが、病院の面接で数分遅刻してその場で帰らせらたことは無いです。
やはり美容皮膚科・美容外科の看護師さんの面接ではそのあたりをシビアに見られるのは一つの特徴です。
美容看護師は実際どうなの?働くメリットや職場の人間関係
編集長
美容看護師として働くメリットはどのような部分だと思われますか?
児玉さん
まずは看護師として生きてきた人が一般企業での経験が積める部分ですね。
これは売り上げへの意識だったり接遇スキルという、今まで意識してこなかった部分の能力が高められるので視野が広がると思います。
編集長
環境面でいくと、どのようなメリットがありますか?
児玉さん
美容皮膚科に入職された看護師さんからよく聞くのは、福利厚生の一環として脱毛のテストレーザーを無料で看護師さん同士で練習し合えるということですね。
編集長
もともと美容皮膚科に脱毛で通っていた看護師さんにとっては非常に嬉しいでしょうね。
児玉さん
人間関係の部分でいくと、美容への興味関心度が高い人達が集まっているので話しが合うスタッフも多くなります。
もちろん、美容クリニックの全てが人間関係が良好というわけではないと思いますが、比較的仲良くなるケースは多いと聞きますね。
狭い空間なので、合わない人がいるとキツいと思いますが、人間関係に関しては正直どの職場でも同じかと(笑)
編集長
確かに趣味嗜好性の近い、同世代が集まる環境なので親睦は深まりやすいと言えますね。
児玉さん
実はこれに関連して少し面白い話しがあって。
今まで多くの美容看護師さんとお会いするなかで聞いた話しなんですが、 特に東京23区の美容クリニックで働く看護師さんは独身の方が多く、プライベートの時間も一緒に過ごすことが増えるらしいんですよ。
そうすると一緒に飲みに行ったり合コンしたりするくらい仲良くなるケースも多いみたいです。
編集長
病院勤務の看護師さんは年齢やライフステージも異なるケースが多いと思いますが、美容クリニックの場合は自分と近しい人達が集まるので、そのような交流が生まれるんですね。
【闇】気になる美容看護師の営業ノルマは?
編集長
美容看護師の転職でよく話題にあがるのが「営業ノルマ」に関してですが、これはぶっちゃげどういう感じなのでしょうか?
児玉さん
実は最近では、基本的に美容看護師の営業ノルマはあまり無いのが現状です。
一昔前は個人ノルマがある美容クリニックもかなり多く存在していましたが、現在はほとんどの美容クリニックにノルマはありません。
店舗ごとの売り上げノルマなどはありますが、個人に対してのノルマはほぼないと思って大丈夫です。
逆に言うと店舗ごとの売り上げ目標はあるので、そちらに連動して個人でも売り上げの意識を持つように教育されるといった事はあります。
編集長
個人ノルマという形式は無くなってきているんですね。
ただ、売り上げに対しての意識を持たなければいけないという部分は変わらないので、個人ノルマが無いから売り上げを気にしなくても大丈夫ということでは無いのは覚えておかなければならないポイントですね。
転職サイト(紹介会社)を活用して美容皮膚科・美容外科へ転職するメリットは?
編集長
これまで多くの美容看護師になりたい方の転職支援をおこなってこられたと思いますが、紹介会社を活用して美容皮膚科・美容外科へ転職するメリットはどのような部分だと思われますか?
児玉さん
大きなメリットでいくと、私達のような紹介会社を通す事により条件などの交渉がおこなってもらえる点ですね。
美容看護師は経験者と未経験者で分類されますが、経験者の看護師さんは「仕事内容が脱毛だけになるのは嫌だ」「ネイルや髪色は今のままいきたい」「旅行で長期休暇を取りたい」みたいなご要望がたまにあります。
中小企業が運営する美容クリニックだと紹介会社のキャリアアドバイザーが転職活動時に交渉に入ってOKになる場合もあります。
編集長
そのような交渉を児玉さんの方でおこなった経験はございますか?
児玉さん
何度もありますよ。普通だと無理難題と思われる交渉も自分が仲介することによりOKになったこともあります。
大手美容クリニックでは絶対通らない交渉も、中小企業が運営する美容皮膚科・美容外科ではあればたまに通ることがあります。
編集長
条件付きの美容看護師さんの転職は、大手美容クリニックより中小企業が運営するクリニックの方が良い場合もあるんですね。
児玉さん
そうですね。
あと美容業界を既に経験されている看護師さんは、大手美容クリニックより中小企業が運営する美容皮膚科・美容外科へ転職を希望されるケースの方が多いです。
編集長
中小企業が運営する美容皮膚科・美容外科は自分で良い所を探すのはけっこう難しいですよね。
児玉さん
おっしゃる通りです。
大手ではないけど良質な美容クリニックをご紹介できるのが私の強みでもあります。
編集長
児玉さんの会社がご紹介可能な美容クリニックのエリアは、どのあたりになりますか?
児玉さん
ご紹介できる場所は銀座・渋谷・新宿です。多いのはやっぱり銀座。
このあたりで美容皮膚科・美容外科をお探しの看護師さんは是非私にご相談ください。
まとめ
美容皮膚科・美容形成外科に転職を考えている看護師の皆さん、いかがでしたでしょうか?
美容看護師になるには基本的には看護師免許・准看護師免許を保有していればOKです。
一方で、今回のインタビュー内容にあった通り、綺麗ごと抜きでいくと年齢的な制限や容姿による優劣があるのは事実です。
また、「美容に興味があるのは前提として、店舗の売り上げに対しての意識がしっかり持てる看護師」が美容クリニックで活躍できる可能性が高いのは覚えておいが方がいいでしょう。
<美容看護師になりたい人が覚えておくべき事のまとめ>
■未経験でも看護師免許・准看護師免許を保有していれば美容看護師になることは可能。但し、年齢や容姿による優劣はあり。
■年収の相場は「美容皮膚科:400~450万円」「美容形成外科:420~500万円」くらいが一般的
※経験や運営会社により異なる
■美容看護師に向いている人は「美容への興味関心度やクリニックの売り上げへの意識などの感度が高い人」
■美容看護師に向いていない人は「【こういう看護をやりたい】という明確な看護観が持ちすぎている人」
■美容クリニックの志望動機作成のコツは「具体的になぜ、どういった事があって、美容クリニックで働くことに興味が出たか?」を語れること。
■美容クリニックの面接では「対応力・接遇スキル」をシビアに見られる。数分でも面接当日の遅刻はNG。
■紹介会社を通じて美容クリニックに転職するメリットは「無理難題な条件交渉も紹介会社のキャリアアドバイザーがおこなってくれる」ことと、「大手ではないけど働き易い良質な美容クリニックを紹介してもらえる」こと。