看護師さんと面談をした後、希望に合った求人を探し、応募可能先やその他近隣の求人情報をお届けしているのに、「なぜなかなか面接を設定できないのだろう?」というお悩みを抱えていませんか。
今回は、キャリアアドバイザーが陥りがちな面談の失敗例とその改善策を具体的にお話していきます。面談のポイントをおさえ、看護師さんを面接にしっかり導けるようになりたいキャリアアドバイザーはぜひ最後まで読んでみてください。
下記のような対応に心当たりはありませんか?
✔ 希望条件について1つ1つ順番にヒアリングをしている
✔ 条件をヒアリングする際に「家から近いほうが良いでしょうか?」というようなYES/NOで答える質問をしている
✔ 希望条件が厳しそうだったので「いいところがあれば、ご提案しますね」と言って電話を切っている
このような面談をしている場合は、今すぐ改善が必要です。
なぜこのような対応をしてはいけないのか?どのように改善したら良いのか?を1つずつみていきましょう。
前回の記事でお話しましたが、面談は希望条件を聞く時間ではなく、求職者の現状の課題は何か?を確認する時間だからです。
もちろん、最終的には”どんな条件で探すか”ということは決めないといけません。
しかし、転職は求職者の課題解決の1つの手段ですから、まずは求職者がどのような状態に置かれているのか?という現在の状況をヒアリングし、その求職者がどのようなことに困っているのかを確認するのが先です。
それが終わってから「どんなところで働きたいか」という未来の話に繋げていく必要があります。
下記は実際の求職者との会話の例です。
こちらの例では、求職者は「残業がないところ」「家から車で15分」「休みが多い」というのが希望条件に見えますが、これだけでは”どんなことに困っているのか”がまだ分かりませんので、下記のように深堀をしていきましょう。
POINT1
求職者は「残業が多くて」と言っていますが、多い・少ないというのは人ぞれぞれの感覚です。
「多い」とは具体的に何時までなのか?という確認が必要です。
POINT2
「残業が多い」というのは単なる事実に過ぎません。
たしかに常識的に考えると「残業が多い」というのは良くないことであり、転職理由の1つになりやすいかもしれません。
ただ、残業が多くても辞めるほどではないという人もいますし、残業が苦にならない人もいます。
重要なのは、「残業が多い」ということによって、求職者にどんな支障があるのか?どんなことに困っているのか?を確認することです。
この事例の場合、求職者は「残業が多い」(早くて19時半)という事実によって、「保育園のお迎えに間に合わない」ということに困っているのです。
つまり、この求職者の課題は、「保育園に間に合わないこと」であり、本当に希望しているのは「保育園のお迎えに間に合うこと」ということです。
「残業がないところ」「家から車で15分」「休みが多い」というのは、表面的な希望条件でしかなく、この条件で求人を探すと、条件に合わない求人を探してしまうことにも繋がります。
極端な話をすれば、残業はないが遅番などがあり”定時が19時半”の求人が見つかったとしても希望と合わないということになります。
YES/NOで答えられる質問をしてはいけない理由は、求職者の本心を聞く機会を失うからです。
例えば、「家から近いほうが良いでしょうか?」や「お給料は高いほうが良いでしょうか?」という質問をされた場合、あなたなら何と答えますか?
仮に通勤距離や給与の優先順位がそんなに高くなくても、こだわりがなかったとしても、「YES」と答えてしまいませんか?
家から遠いほうが嬉しい、お給料が低いほうが良い、という人はほぼいませんから、距離が近ければ近いほど通勤はラクになり嬉しいですし、お給料も高いほうが嬉しいのは当たりまえなのです。(たまにドライブが好きなので家から近すぎると嫌、という求職者とはお会いしたことがありますが…)
このような質問をしてしまうことで、求職者の本心をとらえないまま、キャリアアドバイザーが勝手に「家から遠い求人は求職者にとって負担である」「お給料が低い求人は希望と違うから提案するのは失礼だ」と思い込んでしまい、提案する求人の幅が狭くなってしまい、求職者のキャリアの選択肢を減らしてしまうリスクがあります。
では、どのようにヒアリングしたら良いのか。
それは、相手に考えさせる質問をすることです。
質問には下記の2つの質問があります。
質問する相手は自由に答えられる質問。
テストに例えるならば記述式。
【メリット】
答えに制限がなく幅広い答えを引き出せる。本音を引き出しやすい。
話を盛り上げたり、相手に考えを深めてもらうことができる。
【デメリット】
回答に時間がかかったり、話が散らかる可能性がある。
質問相手がYES/NOやA/B/Cから選択するような回答が制限されている質問。
テストに例えるならば、マークシート形式や〇×問題。
【メリット】
相手が回答しやすい。
【デメリット】
一方的な会話になってしまう。相手の本音を聞き出しにくい。
POINT1
面談の前半では、求職者が自分自身で考え自由に回答ができるオープン質問を取り入れて求職者の考えや意見などをご自身でも考えてもらい、本音を引き出していきましょう。
質問は、5W1H(What・When・Who・Where・Why・How)を意識すると良いでしょう。
最初、慣れない間は、「なぜ?」と「具体的に?」とメインで使ってみるのがおすすめです。
POINT2
面談の後半では、YES/NOで答えられるクローズ質問を取り入れて希望条件の確認を行いましょう。
YES/NOで答えられる質問はヒアリングに使用するのではなくて、確認する際に使うのがポイントです。
この発言、一度はやってしまったことがあるのではないでしょうか。筆者も新人の頃にやってしまったことがあります。
この発言がNGは理由は「いいところ」は待っても出てこないからです。筆者自身もこの会話をした求職者にその後「いいところが出ましたよ!」と言って成約することはありませんでした。
例外として、地方でお住まいの地域に医療機関がそもそも1つや2つしかなく、ハローワークなどの手段を使ったとしても就職が困難である場合もあり、今回はそのようなケースは含みません。
あくまで、お住まいの地域に提案できる求人が複数件あるにも関わらず、このようになってしまう場合です。
このようなケースで求職者が言っている「いいところ」とは、「土日祝休み・日勤・給料は今より下げたくない・家から近い・クリニックetc…」など”希望の条件”を全部叶えようしている場合によく起こります。
こういった求職者と出会った際、求職者に対して希望の求人を提案してあげられない罪悪感を抱いたり、「そんな条件の求人あるわけない!」と少しモヤモヤしたりするキャリアアドバイザーも多いです。
だた、これは、求職者がわがままを言っているわけではないですし、求人を探してあげられないキャリアアドバイザーが悪いわけでもありません。
お察しの通り、そういった求人は存在しません。
また、求職者はそのような求人がないということろ知らないため「あったらいいな」と思って希望を言っているだけで、仕方のないことなのです。どちらが悪いということではありません。
であれば、それを伝えずに「いいところがあれば、提案します」と言ってその求職者の求める条件が厳しいということを伝えないということは、求職者に期待をさせてしまうことになり、かえって失礼になってしまいます。
条件が厳しい方への対応は下記の2つがポイントです。
POINT1
「転職は課題解決の1つである」ということを伝え、現在どんなことに困っているのか?を再度ヒアリングしましょう。
この内容は【1】で説明した内容の繰り返しになってしまいますが、最終的にはやはり”なぜ転職するのか?”というところに行きつきます。今困っていることを解決するための手段が転職なので、「すべての条件が叶うところでないと転職しない」というような考え方では、今自分が抱えている悩みは解決しないということをお伝えしてあげるのが良いでしょう。
逆に、転職に対して前向きでない方の場合は、転職せずに解決する方法、例えば院内での異動や系列の医療機関や介護施設への異動はできないのか?ということや、雇用形態の変更(正社員⇔パート等)の選択肢はないのか?等を一緒に考えてあげてください。
転職はなにかと大変なことも多く、しないにこしたことはありません。辞めない選択肢はないのか?探ってあげることも求職者に寄り添うことの1つです。
POINT2
希望する条件が多すぎて合致する求人がない場合は、どこの条件を緩和したら合致する求人が見つかるのか?を提案することが必要です。
例えば「”土日祝休みのクリニック”という求人は世の中になかなか出回らないので厳しいですが、土曜日は頑張れば午前だけ出勤できる、ということであればご提案できるところが増えると思います。
もしくは、若干お給料が安くなりますが、フルタイムパートでも経済的になんとかなるということであれば、こちらで交渉してみることもできます!
他にも、土日祝休みが絶対ということであれば、オンコールを頑張ってもらって訪問看護はいかがでしょうか?なるべくオンコール回数が少ないところを探しますので。」というような提案です。ただ「土曜くらい出ないと求人がありませんよ」や「オンコールができないとなると厳しいですね」という言い方ですと、言葉を受け取った相手は気を悪くしてしまう怖れがあります。
そして、提案する時は、相手に条件を譲歩してもらうだけではなく、譲歩してくれたら、自分はどのようなことができるのか?ということも合わせてお伝えしてあげるのが良いでしょう。
では、ここまではNG事例を元にお話をしていきましたが、面談の時に意識するポイントは下記の3つです。
① 面談は希望条件を聞く時間ではなく、求職者の課題は何か?を確認する時間である
② 面談の前半はオープン質問をし、後半はクローズ質問をする
③ 求職者の希望を全部叶えようとしないこと
ここまで読んでいただいて気付いた方もいるかもしれませんが、今働いている人に面談をして、現状の課題や困っていること、支障を確認するのは分かったけれども、離職中の人はそもそも働いていないのだから、課題なんてないのでは?と思いますよね。
このような離職中の方の、課題・困っていること・支障とは、「働かない状態が続くことによってどんな支障があるのか?」を確認すると良いです。
お金がないことで、お子さんを塾に通わせられないとか、家にいることで自分の将来叶えたい目標が叶わないとか、その方にとって働かないことによって困ることを考えてあげてください。もし、働かなくても困ることがないのであれば、無理に就職することはありません。