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デジタルエージェンシー出身者が次のキャリアをどうするか悩むケースは非常に多いと思います。
現職でスキルや給与の伸び幅に限界を感じている人も少なくなく、そういった際にはエージェントからのアドバイスは非常に有効です。
本日は、自身もデジタルエージェンシーの営業職としてキャリアを積み、現在はキャリア支援をおこなう株式会社ホワイトグラッシーズ代表取締役の野崎大輔氏(白メガネ社長)と対談させて頂きました。

デジタル時代におけるサステナブルなキャリア設計を支援する白メガネ。
専門は広告・マーケティング、インターネットサービスの転職&副業エージェント。
リクルートの人材ビジネス、博報堂DY系アイレップ等を経て独立。

デジタルエージェンシー、総合広告代理店、事業会社を経て独立。人材紹介会社を中心に集客を基軸としたマーケティティング支援に従事。
大手デジタルエージェンシー営業職の「キャリアの選択肢」とは?
山本
本日はよろしくお願い致します。
私達もデジタルエージェンシー出身ですし、野崎さんとは一緒に働いていた時期もあるので、よくキャリアの話しはしますが、今もやはりデジタルエージェンシーの方からの相談は多いですか??
白メガネ
最近、デジタルエージェンシー在職者の若手から将来のキャリアについて相談が増えていると感じます。
山本
具体的には?
白メガネ
先日、ある大手デジタルエージェンシーで営業を担当している27歳のサトウさん(仮名)から「ネクストキャリアをどう考えればいいのかわからない」と相談を受けました。
「スキルも磨きたいし年収も上げたいけれど、上は詰まっているし…どんな選択肢が考えられるのでしょう?」と。
山本
この業界では、よくあるパターンですよね(笑)
白メガネ
彼と同じような悩みや不安を抱いている人は多いです。
このときアドバイスした内容をご紹介しますので、同じような悩みを持つ若手の営業職の方はぜひ参考にしてみてください。
大手デジタルエージェンシーのネクストキャリア「5つの王道」
白メガネ
ここから具体的な事例をお伝えしていきます。
大手デジタルエージェンシーの営業職のネクストキャリアとして、主に考えられるコースは次の5つ。
実際、20代のうちにこの5つのキャリアを目指す人は多く、「デジタルエージェンシー出身者の王道のネクストキャリア」とも言えます。
いずれもキャリアアップ、年収アップにつながるコースですので、どれが自身の志向に合うかどうか、チェックしてみるといいでしょう。
【Case1】事業会社のマーケティング部門に転職する
最も希望者が多いのがこのコース。
これまでの経験を活かして、クライアントサイドに移りたいと考える若手は今も昔も非常に多いです。
そして実際、事業会社のマーケティング担当として活躍している大手デジタルエージェンシー出身者も増えています。
この場合、さらに2つのキャリアパターンが考えられます。
1つは、ナショナルクライアントに移って大規模な予算を動かすパターン。
もう1つは、ベンチャーやスタートアップ企業で、自社の商品やサービスを売り続けるための進行形マーケティングを手掛けるパターンです。
前者は、これまでテレビに掛けてきた予算をデジタルにも配分し、両者をうまく融合させながら最大効果を目指すスキルが求められます。
後者は、どちらかと言うとダイレクト寄りで獲得効率最大化を目指し、さまざまなチャネルを活用しながらマーケティングを進めるスキルが必要とされます。
予算のスケール感や、どんなスキルを磨きたいかによって、どちらの道を目指すか検討するといいでしょう。
【Case2】ベンダーかメディアのセールスに移る
いずれも年収に対するインセンティブの割合が大きくなりがちなので、「成果を正当に評価してもらいたい。収入を上げたい」という意向が強い人にお勧めのコースです。
自社サービスであるソリューションやメディアのために尽力できる喜び、醍醐味も味わえるでしょう。
マーケティングテクノロジー分野の製品やサービスを手掛ける「マーケティングベンダー」のセールスであれば、これまでの業務経験や、業界の商流などといった知識を営業現場でフルに活かすことができます。
SNSなどを運用するメディアのセールスであれば、同じく経験や知識を活かしつつも、自社メディアを伸ばすための策を練り、実行、検証する経験を積むことが可能です。
【Case3】総合エージェンシーへの転身を目指す
デジタル経験を活かして大手総合エージェンシーに移るというのも、目指す人が多いコースです。
ナショナルクライアントと相対しながら巨額の予算を動かしたい、スケール感の大きい仕事に携わり経験値を上げたいという志向が強い人に向いています。
若手の認知を取りに行くためにはデジタルの活用はもはや必然であり、デジタルの知見を持つ若手に力を発揮して欲しいと考える総合エージェンシーは近年増加傾向。
デジタルエージェンシー出身者がマスブランディングで経験・スキルを活かす道も、以前に比べて広がっています。
【Case4】コンサルティング業界に越境する
近年、広告/マーケティング業界と急接近をしているコンサルティング業界に転身するのも一つの選択肢です。
各企業がプロモーションを考える際、TX(トータルエクスペリエンス)の視点でデジタル戦略をどう考えるかが重要視されるようになり、そこにコンサルティングファームが多数入り込んできています。
案件が増えるにつれ、デジタルに関する知識のある人材不足が顕著になっており、コンサル各社では、デジタル広告に知見のある人材の採用を積極化しています。
なかでも、デジタルリテラシーが高く大手クライアント慣れしているデジタルエージェンシー出身者は高く評価される傾向にあります。
【Case5】アーリーステージのエージェンシーで役職者を目指す
ベンチャーやスタートアップなど、今いる組織よりもアーリーステージにある会社に「大手ならではのノウハウ」を武器に、役職者もしくは役職者候補として転職するという選択肢です。
できるだけ早くマネジメントサイドに行きたい、年収もポジションも上げたいという野心のある人であれば、こういう選択肢も有りです。
自身の経験を活かし、介在価値を感じながら会社そのものを大きくする経験は、大手ではなかなか得られないものです。
役職者になれば、再び転職活動する際に「マネジメント経験者の転職市場」で戦えるようになるので、その後の年収水準も高まることが期待できます。
経営目線が養えるので、将来独立を目指している人にも向いていると思います。
ほかにもある!志向や目標に合った「キャリアの選択肢」
山本
大きい枠組みとして、上記の5つですよね。
その他のキャリアに進まれている方もいると思いますが、その辺りも聞かせてもらえますか?
白メガネ
前述の5つが大手デジタルエージェンシー出身者のオーソドックスなネクストキャリアですが、もちろん他にも可能性はたくさんあります。
番外編としていくつかご紹介してみましょう。
「社内転職」して手に職の運用側に回る
事業会社や独立の可能性を広げたいのであれば、異動願いを出して運用側に回るのも一つの方法です。
営業ではクライアントのオーダーに耳を傾けニーズを引き出す力や、運用側に的確なニーズを伝える力などは身につきますが、広告の企画や戦略立案、効果測定など「自ら手を動かす」機会はほぼありません。
将来独立を考えていたり、ベンチャーやスタートアップの事業会社への転身を検討していたりする場合は、一人で何役もこなす必要があるため運用側の知識も必須になります。
営業からいったん離れ、一連の運用経験を積むことで、デジタル広告領域における総合的なスキルを身につけることができるようになります。その後の選択肢もぐんと広がるでしょう。
DXコンサルタントを目指す
マーケティングを考える際は4つの「P」~すなわち「Product(商品)」「Price(価格)」「Promotion(プロモーション)」「Place(流通)」で考える必要がありますが、デジタルに関する知見を活かしつつ「プロモーション」以外の道で戦うという方法もあります。
DXコンサルタントは、データの活用やデジタル技術の知識などを活かしながら、クライアント企業の事業変革、組織変革に携わるという役割。
変化の激しい時代に対応するため、あらゆる企業がDXを進める中、DXコンサルタントの需要も右肩上がり。
経験を活かしながら長きにわたって第一線で活躍したい人には、魅力的なキャリアです。
営業での経験・スキルを活かしてコンサルティングファームで経験を積む方法もありますし、いったん自社の運用サイドを経験したり、DXに強みを持つ専門コンサルタントのポテンシャル採用を狙ったりする方法もあるでしょう。
ある程度現場経験を積んだ後は、事業会社だけでなく、総合コンサルティングファーム、総合エージェンシーで活躍する道も開けます。
旧来型のネット広告代理店で「職人」を目指す
ここ10年ほどで、当時の表現を使うと「ネット広告代理店」は大きく二分化しました。
1つは、テレデジを総合的に管理・運用することでマスに切り込み、大きく成長を遂げた大手デジタルエージェンシー。
もう1つは、ひたすらCPA、CPIに向き合い続けてきたデジタルエージェンシーです。
もし自分のスキルにそこまで自信がないのであれば、後者のようなデジタルエージェンシーに移って、獲得系業務をゴリゴリやり続けてスキルを積むのも選択肢としてありです。
親会社の意向に左右されない独立系の会社を選び、クライアント予算全てを任されるような立場で、現場でクライアントと向き合いつつ手を動かし続ける。
そしてクライアントに売り上げアップを体感していただくことで、介在価値を感じながら自信を積み上げていく。こういうステップアップの方法も大いに考えられます。
自身が勝てる領域はどこか考え、ときにチャレンジしてみることも必要
山本
ありがとうございます。
最後に、ネクストキャリアに悩むデジタルエージェンシー所属の営業職の方に一言お願いします。
白メガネ
スキルアップも年収アップも目指すのであれば、どんなポジショニングを取れば有利になるのか、常に考えることが大切です。
これまでの経験を振り返りスキルを棚卸しして、「強みを生かして勝てる領域はどこにあるか」をイメージし、ときに大きなチャレンジをすることが求められます。
当社ホワイトグラッシーズでは、転職を前提としないキャリア設計のお手伝いをしています。
求人案件の紹介がメインではなく、業界知識があるキャリアプランナーに、将来的なキャリアの悩み、不安をぶつけてみることで、視野が開けることもあります。
プロをうまく活用しながら、自身のキャリアを切り開いていって欲しいですね。